2015-03-01 22:06:00

 

まるで糠床を混ぜるかのような、しっかりとゆっくりとした手。

彼女が混ぜているのは、豚たちの食事だ。

一つ一つの食材と向き合いながら、豚の健康を考える。

愛情たっぷりの手作業が印象的だった。

 

   * * *

 

“郷(ごう)ポーク”

ニーノの食材のひとつ。

地元奈良で育った豚。

ジューシーで甘味のあるおすすめの食材だ。

「よし!会いに行こう!」

私たちは、奈良と京都の県境近く、山あいで育つ豚に会いに行った。

 

   * * *

 

配合飼料は一切使わず、人間が食べるのと同じもので豚を育てておられる。

野菜、果物、ご飯、パン、麺・・・30品目ほどの食材。

食品関連会社等の協力を得て、使わない皮の部分を利用するなど、循環型の畜産農法だ。

  「細かく刻んでよく混ぜます。そうすると酵素の働きが活発になるんです」

  「食材が偏らないように気をつけています。栄養バランス・・・大事ですから」

案内の女性が教えてくださった。

 “もしかしたら、私たちよりバランスのいい食生活かも・・”

そんなことを思いながら、豚舎に向かう。

  「噛みごたえのあるものも食べさせています。人間でも、よく噛むといいって言うでしょ」

慈しみと愛をいっぱいに受けた豚。

まるで、子供を育てるかのような愛情だ。

 

豚舎を覗き込むと、一斉に豚たちの注目を浴びた。

奥にいた豚も、私たちの姿を見るや近づいてきた。

  “かわいいっ!そしてなんて人懐っこいんだろう”

この人懐っこさにはワケがある。

手作業で、それぞれの豚舎に餌を分けているからだ。

  『はやくちょ〜だ〜い!!』

そんな豚たちの声が聞こえてくるようだ。

豚と人間。食を通して心を通わせている気がする。

 

子豚たちは、可愛さが格別!

まぁるいお尻。愛くるしい目。

子豚たちの様子をながめていると、その時、一頭の子豚が店長の西野に近づいてきた。

西野の顔を見つめ、しきりに何かを話しかけている様子。

  “店長・・・豚のことばわかるの?豚と心通じ合ってるの?”

豚にモテる店長。

なんだか不思議な力持ってるのね(笑)

 

   * * *

 

愛情をもって、誰かのために食事をつくる。

顔と顔を合わせながら、相手の健康を願い、作った食事を提供する。

当たり前だけれど、ついつい忘れがちになりそうなこと。

食べることは生きること。

食は体だけでなく、心もつくる。

つくる人、食べる人・・・食を通じたコミュニケーション。

とても大切な「食」のあり方を、あらためて感じることができた。

 

命を量産するのではなく、大切に育て、感謝しながらいただく・・・

そんな村田さんの思いが伝わってきた。

命と向き合う仕事をしている人は美しい。

そして、そんな人たちに育てられた豚は、元気で美味なのだ。

 

私たちも、あらゆる動植物の命に感謝し、それをお料理に変え、お客さまの健康、豊かな心に貢献できるNinoでありたい・・・そんなふうに思った郷ポークの郷(ふるさと)訪問だった。

                           (by MAYUMI)

 

     〜郷ポーク〜

  生産者:村田商店(奈良市鳴川町)

山と川に囲まれた自然豊かな“むらさと”で育ったブランド豚。

ジューシーな赤身とクリーミーで甘味のある脂身のバランスが最高!

Ninoでは、ステーキやシチューなどのお料理で召し上がっていただきます。