ちょうど若草山の山焼きが行われた1月末のころ。
まだ奈良の街には、たくさん海外からのお客さまの姿がありました。
少しずつ少しずつ街の様子が変わり、3月の東大寺お水取りのころは、人よりも鹿が目立つようになっていたように思います。
それでも人は、毎日同じことを繰り返し、同じ場所で同じように仕事をしていると、変化を察知する力が薄れることがあります。
Ninoも、1月から3月にいたるまで、例年とは異なるお客さまの減少を感じてはいました。
けれども現実を見つめ、先を見通す力は、日々繰り返される日常の中で弱まっていたかもしれません。
そんなとき・・・
あるお客さまがいつものようにお食事に来られました。
中国、そして私たちのレストランとも縁のあるイタリアでの新型コロナウイルスの状況等をお話されました。
そして「日本も近いうちに同じようなことが起こるかもしれない」と。
その言葉を聞いて、現実を見つめ、先を見る目が開きました。
“もしもお店を休むことを要請されたら・・もしも街が閉鎖されたら・・”
恐れるのではなく、前を向くための思考でした。
Ninoでは、以前からネットショップの準備をしていました。
レストランと並行しながらの作業はなかなか難しく、中断していたのですが、3月頃から本格的に準備作業を再開しました。
4月に入り、売上減少を心配した常連さんが応援に来て下さることもありました。
Ninoファンの方が立ち寄って下さることもありました。
本当に本当にありがたかいことです。
でも、“うつらない うつさない”を第一に考えると、お客さまを大切にするために休む・・そんな選択にいたりました。
そして、今しばらくはネットショップで、みなさまのお役に立つことに懸命に取り組んでいます。
これからどうなるかは誰にも分かりません。
でも、常に今この現実をしっかり見つめ、その時その時にできることを積み重ねたいと思います。
いつも“みんなが笑顔である”ことを大切にしながら・・。